危機的状況に陥っている東芝で、みっともない社内抗争の行方に注目が集まっている。
不適切会計問題では、営業利益の水増し額が最大2000億円に膨らむ可能性が出てきており、前社長の佐々木則夫副会長(66)が取締役を退任する方向だ。その理由は、佐々木氏が社長を務めた2009~13年に、会計処理が始まったからだという。
だが、果たして、佐々木氏ひとりのクビだけで、済む問題なのか。
東芝では数年前から深刻な内紛が続いている。前会長の西田厚聰相談役(71)と佐々木氏の対立だ。05~09年に社長を務めた西田氏は、後継に佐々木氏を指名。盟友とされた2人だったが、13年に佐々木氏が社長を退任する際に、対立が表面化した。社長交代の会見で、互いを批判したのは有名な話だ。
その後、相談役となった西田氏は“子飼い”の田中久雄氏を社長に、室町正志氏を会長に就かせるなど、醜い主導権争いを続けてきた。この「西田VS佐々木」抗争が、収益達成を強く迫る社内の風潮を生み、今回の会計問題を引き起こしたともっぱらなのだ。