【やっさん酒伝説】

5月23日(月)
皆さんこんにちは。
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今日の記事

今だから語れる涙と笑いの酒人生

月亭八方が目撃した 横山やすしの破天荒すぎる酒席伝説

やすし師匠とのエピソードは尽きない(C)日刊ゲンダイ

やすし師匠とのエピソードは尽きない(C)

 古典落語では上方落語界屈指の実力派で、軽妙洒脱な“しゃべくり”にも定評がある落語家の月亭八方さん(68)。自称「下戸」の目から見た、酒に溺れた先輩芸人の姿とは……。
  ◇  ◇  ◇
 僕はお酒いうと、ホンマ、たしなむ程度しか飲めへんのですよ。乾杯ビールはグラスに口を付けるくらい。日本酒ならおちょこに3杯飲んだら、もう十分ですわ。
 それでも仕事柄、お酒の席は多いですし、大酒飲みの先輩、大先輩とご一緒させていただいたことはぎょうさんあります。そんな中で、一番の大トラ言うたら、やっぱり(横山)やすし師匠でしょうな。ちょうど20年前に亡くならはってますけど、あれほど破天荒な飲み方した人はおらんやろね。
 スナックとかクラブとか行くでしょ。店は「いらっしゃいませ」ちゃうんです。「やっさん来た。灰皿隠せ」から始まるんですわ。
 師匠はたばこが大っ嫌いでね。居合わせたお客さんも、愛煙家なら運が悪かったと諦めるしかあらへん。誰かがたばこ吸うてると、それだけで機嫌が悪ぅなって手がつけられへんから。
 僕もいっぺん、「今日は無礼講やで」って師匠が言うからたばこに火をつけたら、途端にパーンとたばこはねつけて「誰がエエ言うたんや。やっすい(安い)たばこ吸いやがって」。もう、これですわ。
■腕時計を煮え立つ鍋の中にポンッ!

 で、お酒を飲みだすでしょ。本人もガンガン飲むんですけど、連れがゆっくり飲んでたり、遅れてきたりすると、「捲れ、捲れ」「差せ、差せ」言うて、とことん飲ませるんです。両方とも、師匠が大好きやったボート用語で「もっと飲め」「先行してるヤツを追い越せ」ってことですわ。
 ほとんど飲まへんことがわかってる僕に対しては、グラスを手にしてたら何も言わへんかったけど、突き出しとか料理を食べよう思て箸を持つと、それだけでもうアカン。「メシ食いに来たんちゃうねん。飲まんかい!」。そう言うて大暴れ。
 師匠が元気な頃、某テレビ局のディレクターと鍋を食いに行った時です。そのディレクターがふと時計を見たら、それが気にくわない。「ワシより時間が気になるんか!」と時計外させて師匠が手に持ったと思ったら、グツグツ煮え立ってる鍋の真ん中にポンッと放り込んだ。時計は白菜の中にブクブクブクって沈んでって、箸ですくうたら、時計の革バンドが伸びて海苔みたいになっとったらしい。
 それ見た師匠、「エエだし出たな」。こんな伝説もあるくらいですから、そら一緒におると気ぃ使いますわ。
■塩と一緒に胃薬の粉末をのせて飲んだ

 それだけやないんです。他のお客が楽しげに話してると、それも気にくわん。「ほらソコ、じゃかましいわ。静かにしとれ!」って。一番ウルサイのは自分やのに。知らんお客に対しても、「なんや、やっすい(安い)酒、飲みくさって」「安モンの酒飲むんなら、黙っとけ」。こんなこと平気で言うんですからワヤですわ。ある時、「兄さん、向こうの酒の方が高いでっせ」って、そっと言うたら、「じゃかましい。安モンの服着て、偉そうにすな!」……。
お店の方も、師匠が暴れたり、他のお客さんに暴言叩くのは諦めとったし、お客さんの方も、むしろ面白がってたとこもあるんですが、いつも師匠の独壇場やった。
 そんな師匠見てると、酒飲みいうのは、つねに自分を正当化するんやなあと感心したもんです。大酒飲みで知られた6代目笑福亭松鶴師匠は「酒の飲み過ぎは体に悪いで」とたしなめられたら、升酒飲むときに升の縁に塩と一緒にパンシロンとか太田胃散の粉末をのせて飲んでました。
 松鶴師匠は「薬も飲んどるから、体にエエやろ」言うんですが、ホンマに体に気ぃ使うんなら大酒は飲まん方がいい。ところが、考え方が違うんですな。全部、自分に都合のエエように解釈するんですわ。
 それはある面、僕みたいな下戸からすると羨ましいんです。いっぺんでいいから、二日酔いとか頭痛を気にせんと、心置きなく飲んでみたい。もし、生まれ変わるなら、もっと飲める体質がエエなあ。こう思いますわ。
 ほんでも、ホンマに大酒飲みに生まれたら、次は下戸で生まれたい。こう思うんやろね。
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剣先いか


甘く美味です!