【鬼平犯科帳】魅力の神髄

11月29日(火)

皆さんこんにちは。

今日の記事  

江戸の食文化の描写が面白い

<第1回>長寿人気を支えた 目、耳、舌を楽しませる仕掛け

 平成元年から28年の歴史を刻んだ中村吉右衛門の「鬼平犯科帳」(フジテレビ系)が、12月2日「五年目の客」、3日「雲竜剣」2夜連続スペシャルでいよいよファイナルとなる。ファンとしてはさびしい限りだが、きっちりと引き際を決めた潔さもまた「鬼平」らしさという気もする。
「鬼平」魅力の第一は主人公長谷川平蔵の人柄だろう。妾腹に生まれ、若いころには放蕩三昧。剣は凄腕でちょっとワル。これで女にモテないわけがない。その後、火付盗賊改方長官となった平蔵は、自分が見込んだ盗賊を密偵にする。その信頼に命がけで応える配下の者たち。人の世の裏表を知り尽くしたおとなの男、厳しさと温情を併せ持つ鬼平はしばしば理想の上司といわれる。事件探索のサスペンスとともに身分を超えた人間ドラマも見どころだ。
 中村吉右衛門(72)は40歳のとき、「次の鬼平に」と原作者の池波正太郎から直々に依頼されたが、「40歳はまだまだ小僧ですから」と断ったという。しかし、5年後、再び池波から声がかかり、ドラマ化が実現。原作者の強い思いが感じられる。

 

■江戸の四季を描くエンディング
吉右衛門版鬼平には、印象的な素材がいろいろある。たとえば初代ナレーター中西龍。「いつの世にも悪は絶えない」冒頭のこの言葉を聞いただけで、視聴者は一気に江戸の闇の世界に引き込まれる。中西は遊郭に出入りするなどNHK時代から型破りとして知られた語りの名人。どこか鬼平の人物像とも重なる。
エンディングも番組の名物。春の桜、初夏の霧雨、夏の花火、秋の紅葉、冬の雪と夜泣き蕎麦……江戸の四季の描写の見事なこと。これらが京都郊外でロケしたというところが時代劇技術のすごいところだ。ジプシー・キングスの名曲「インスピレーション」も今やなくてはならないもの。着信音にこの曲を使ったことで、「君も鬼平ファン?」と上司に気づかれ、急に話が合うようになったという人が私の周りにもいた。
軍鶏鍋や一本饂飩、芋酒など江戸の食もシリーズのお楽しみ。ドラマでは料理上手の与力「猫どの」こと村松忠之進(沼田爆)というオリジナルキャラクターも活躍する。登場人物の個性と物語の面白さに加え、エンディングまで目や耳や舌をしっかり楽しませる仕掛けも、長寿人気の秘密だったのだ。(つづく)

 

ペリー荻野 著者のコラム一覧

ペリー荻野コラムニスト

愛知県出身、時代劇研究家。大学在学中からラジオパーソナリティー兼放送作家としての活動を始める。主な著作は「チョンマゲ天国―時代劇が止まらない」「ちょんまげだけが人生さ」「ちょんまげ八百八町」など。また、監修した時代劇音楽CD「ちょんまげ天国」4作は12万枚を突破している。

 

本日の逸品  

 

ピンク色の魚

 

ヒナジ

 

 

焼くと海老の香りがします