【時知らず】
6月18日(日)
皆さんこんにちは。
今日の記事
巨人のGMは難しい
ナベツネがすぐ意見するから
あの落合でも“プロ”になれず…日本プロ野球GMの難しさ
メジャーリーグにおけるGMは、絶大な権限を持つ。決められた予算の中で、自分が理想とするチームの青写真を描き、それを実現し得る監督とコーチを集め、選手を揃える。つまり、チームづくりのすべてを任されるわけだ。といって、必ずしも選手経験者がGMになるわけではない。
むしろ、“素人”の方が多い。大学を卒業し、インターンとして球団に入って、雑用などの下積みを経験する。そうやってマイナーから地道にキャリアを重ね、ノウハウを学び、人脈を広げ、自分を磨いていくうちに、だんだんと“プロ”になっていく。プロと認められているからこそ、大きな権限を与えられ、逆に責任も生じる。勝てない原因がチームづくりの失敗と見なされれば、簡単にクビが飛ばされる。職を追われたGMが、選手よろしく他球団に“移籍”したりするのも、やはりプロだからこそだろう。
翻って、日本のプロ野球はどうか。日本にもGMが増えた。だが、本来の権限を与えられ、責任を背負った人間がどれだけいるのだろうか。人事もカネも、最終的な裁量権を持っているのは、球団社長であり、その上のオーナーというケースがほとんど。特に元選手のGMは、必ずしも野球に精通していない、そんな“背広組”のアドバイザー、というイメージが拭えないのだ。
■巨人・鹿取GMはどんな手を打つ?
私は、元中日監督の落合博満に期待した。選手としても監督としても、本当の意味でプロを貫いた落合が、日本にも真のGMの地位を確立してくれるのではないか、と思った。しかし、表に伝わってきたのは、GM就任1年目のコストカットくらい。オーナーから絶大な信頼を得ていたはずの落合ですら、プロのGMにはなれなかった。
そんな中、巨人にも球団初のプロOBのGMが誕生した。白羽の矢が立った鹿取義隆は選手、指導者として立派な実績を持つ。戦力的な過渡期を迎えている今の巨人は難しい状況にあるが、打てる手はあるだろう。
おろそかになっていた育成に本腰を入れるのはもちろん、今季の巻き返しを考えた短期的な策としてはトレードだ。例えば、巨人にはマギーの加入で出番が制限される村田修一(36)がいる。この村田を阪神の鳥谷敬(35)と交換したらどうか。チーム事情で三塁に回された鳥谷の守備力は、衰えがあるとはいえ、やはり二遊間を守ってこそ生きる。二塁手に困っている巨人としてはこれ以上ない補強だし、本職の三塁手を手に入れられる阪神は右の長距離砲という課題も解消される。チームにとっても、選手にとっても有益ではないか。
あくまで双方の利害が一致する短期的な措置として、シーズン終了後に再び互いを戻したっていい。鹿取GMにはそんなプロの仕事を期待したい。
著者のコラム一覧
1938年12月2日、佐賀県鳥栖市生まれ。鳥栖高からブリヂストンタイヤを経て61年に中日入り。1年目に35勝19敗、防御率1.70という驚異的な成績を挙げ、最多勝や沢村賞などタイトルを総ナメに。連投に連投を重ねる姿に「権藤、権藤、雨、権藤」の流行語が生まれた。68年に現役引退後は各球団の投手コーチを歴任。横浜で初の監督に就任した98年にはいきなりペナントを制し、38年ぶりの日本一に導いた。
本日の逸品
時鮭(時知らず)焼き
トラウト(鱒)に近いです。
優しい顔立ち
白ごはんとどうぞ!
毎年5月から7月頃にかけて三陸沖や北海道沖で捕れるサケ(シロザケ)のこと。サケが旬の季節の秋ではなく、春から夏にかけて捕れるため、時期が異なるという意味で「ときしらず」と呼ばれ、実際に「時知らず」と書かれることもある。
時鮭となるのは日本の河川で生まれたサケではなく、ロシア北部の河川で生まれたサケと考えられている。回遊中に日本の近海に現れた若い個体であり、まだ成長途中で卵巣や精巣も成熟していない。そのため、身肉に栄養素や脂が凝縮されていて、非常に美味だとされる。
同様に若いサケで、時鮭よりもさらに美味とされるのが「鮭児(けいじ)」で、10月から11月頃に数千本に1本という割合でしか水揚げされないため、幻の鮭とも言われる。