【去り際の美学】

9月23日(日)

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樹木希林の生き方は見事だった

安室奈美恵と樹木希林…残す言葉から“去り際”を研究する

樹木希林(左)と安室奈美恵(C)共同通信社
樹木希林(左)と安室奈美恵(C)共同通信社

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 今週は安室奈美恵の引退で一色になると思ったが、樹木希林の訃報があり、ワイドショーは樹木の話題に力を注いでいたように思う。

考えてみれば、安室の引退はニュースだが、それはある幅の世代が騒いでいるのであって、国民の大半を占める中高年たちにとってはあまり感情が動かない話ではないのか。安室の引退っていっても、百恵ちゃんの時の衝撃に比べたら、たいしたことがないと思っている人たちの方が圧倒的だと思う。舞台に白いマイクを置いて、去っていく山口百恵の姿は昭和生まれにとって永遠に忘れられない光景だ。

安室は“平成の歌姫”といわれているが、同じ歌姫なら“昭和の歌姫”美空ひばりの方が偉大だろうし、中高年は茶髪やミニスカに厚底ブーツで街を闊歩するアムラーに眉をひそめていた世代だったりする。それが超高齢社会の現実だ。

最後の沖縄でのライブもチケットのない1万人が会場の外にあふれているとか、実際のラストライブの映像も歌っているところだけ。最後、「ありがとうございましたー」で終わり。そもそも安室のライブはMCなし。パフォーマンスに全力を注ぐとファンは了解しているのだろうが、最後に発したのが「ありがとうございましたー」では、物足りない気がするのは私だけか。

今どきの子(といっても、安室も41歳なわけだが)と会話していて思うのは「カワイイ」「ヤバイ」だけで会話が成り立っていること。それにコミュニケーションはSNSで。やはり自分の言葉や声でちゃんとメッセージを伝えるのが大事だ。

その結果、各局ワイドショーも、安室引退の話題ではサプライズで山Pが出たとか、安室がラストに何を歌ったとか、そんな話題しかなく、「ありがとうございました」の映像を何度も何度も見せられるハメに。

■老いに向かう中高年の指針に

その点、樹木希林はさすが。映画の宣伝やイベントでのやりとり、インタビューやバラエティー番組に出演した際、彼女の口から出てくる言葉の一つ一つが深く、そこには人生観や死生観が込められている。

たとえば「結婚なんてのは若いうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできないんだから」とか「がんはありがたい病気よ。周囲の相手が自分と真剣に向き合ってくれるから」「(がんだと)死ぬまでの準備ができる」とか。

「樹木希林名言集」として出せばベストセラー間違いなし。その言葉とともに凜とした生き方はこれから老いに向かう中高年たちの指針となる。

言葉を残さずに去った安室ちゃん、多くの言葉を残した樹木希林。どちらもその去り際はお見事だったけど。

桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

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