【レジェンド松下1】

12月9日(月)

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1日に2億円近く売る カリスマ実演販売士の原点と極意<前>

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レジェンド松下さん(C)日刊ゲンダイ
レジェンド松下さん(C)

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実演販売士 レジェンド松下さん

 まずは、思わず引き込まれるレジェンド松下さんの軽妙な語り口から――。これは、かかとの角質をきれいにする美容器具の売り口上だ。

「じゃあ、硬いところをやるとどうなのかっていうと、いくわよ! この量の違い! しかもあっという間に削れて。しかもゴリゴリに痛みつけて削るんじゃなくて、見て下さい、平らにしてるんで、ピカーッて光ってるの、わかります?――」

実演販売士とは、店先などで“実演”しながら商品を売るプロのこと。昔でいえば香具師やテキヤ(フーテンの寅さんもその類い)だが、テレビショッピング全盛の近ごろでは、物販のスペシャリストとして注目されている。

その中でも松下さんは、人気、実力ともにナンバーワンの呼び声が高い。テレビショッピングでは1枚数百円の掃除用クロスを1日1億8000万円分も売り上げ、店頭販売では1台10万円の電子レンジを1日に150台以上売った記録を持つ。テレビ出演も、通販番組に限らず、マツコ・デラックスの「月曜から夜ふかし」など、バラエティー番組にも引っ張りだこだ。

 まさにカリスマ販売士ともいえるレジェンド松下さんは法政大卒。そもそも実演販売士になろうと思ったきっかけは?

「ひとことで言うと就活の失敗です。テレビやマスコミ業界が志望だったのですが、ことごとく落ちてしまって。それまで順風満帆に来ていただけに、人生初めての挫折に落ち込みました。でも“自分って一体なんなんだろう”と考えた末、実は人前に出る仕事をしたいこと、それを心の底に隠して生きていたことに気づいたんです」

もともと人前に出るのが好きだった松下さん。学生時代には野球場で売り子のアルバイトをし、「そこそこ売っていたので、自分に向いているかも」と、現在も所属する実演販売士の事務所の門を叩いた。

しかしプロの世界は甘くない。いざ人前に出ると言葉が出てこない。当然商品も売れない。師匠や先輩はまさに立て板に水で、飛ぶように商品が売れていく。「やっぱり向いてないのかな」――再び挫折を味わうことに。

「でも一度はとことんダメだったんだから、やれるまでやってみようと。とにかく師匠のセリフを丸暗記して、そのまましゃべることにしました。それを2年も続けていると、そこそこ売れるようになるんですね。そしてどんな商品でもそれなりに扱えるようになってくる。あ、コツを覚えるってこういうことなのかと気づくと、仕事の歯車も回るようになってきました」

一度得た知識を応用するのがコツ

 石の上にもじゃないが2年コツコツとやった成果が出たというわけだ。しかし時代はテレビショッピング黎明期。それまでのように一つの商品で20年、30年食べていける時代じゃない。落語家のように話芸を磨いても、世の中の商品サイクルの速さについていけなくなるのは目に見えていた。

「そこで一つの商品の売り口上を完璧に磨き上げるより、どんな商品でもある程度しゃべれるようになろうと思いました。そのためには商品知識をたくさん頭に入れることが必要です。しかし、一つ一つ勉強していたんではとてもじゃないけど間に合いません。そこで私がやったのは、一つの商品で得た知識を他の商品で応用することでした」

例えば「ミネラルウオーター」を売ったら、頭の中には“水”に関する知識が残る。それを次の「製氷機」の仕事に生かすのだ。なにせ氷は水からできている。意外と共通項は多い。そんなことを繰り返していると、頭の中にはたくさんの“引き出し”ができる。例えば「コーヒー」という引き出しがあれば、「紅茶」を売る仕事が来た時にスーッと開けるだけでいい。

「今まで私が扱った商品は1000を下らないでしょう。で、引き出しを開ければ10パターンくらいの話ができますから、単純計算で1万通りの実演販売が出来ることになります。1万はさすがに大げさかもしれませんが、どんな商品でも売れる自信はあります」

そうしたやり方は、昔かたぎの実演販売士には反感を持たれたが、時代にはフィットした。今やネット上には何千、何万の商品があふれている。下手をすれば見た目や値段でしか見向きされない。どんなに良いものを作っても埋もれてしまう可能性のほうが高いのだ。

「しかし我々は、この商品がなぜその値段なのか、なぜ良いのかを言葉で説明できる強みがある。だから、わかりにくいけど良い商品、他にはないヒット商品を生み出せるんです」とはいえ、1日に2億円近く売り上げるなど誰にでもできることではない。物をたくさん売るにはどうすればいいのか? そこには“しゃべりの技術”ではない、ある「コツ」があるという――。

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