【ボヤキは永遠なり】

2月21日(金)

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味のある話しはノムさんらしい

理想の打順を「1番から9番までイチロー」と答えた野村監督

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プロ野球両リーグ・個人タイトル表彰式で肩を組む巨人・王貞治と南海・野村克也両選手。入団12年目の野村は戦後初の三冠王を獲得、7年目の王は本塁打と打点がトップで、共にリーグMVPに選ばれた=1965年11月(C)共同通信社
プロ野球両リーグ・個人タイトル表彰式で肩を組む巨人・王貞治と南海・野村克也両選手。入団12年目の野村は戦後初の三冠王を獲得、7年目の王は本塁打と打点がトップで、共にリーグMVPに選ばれた=1965年11月(C)共同通信社

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「王になあ、みんな持ってかれた。本塁打、打点でしょ。オレの記録なくなっちゃった」

 通算打撃成績を、5歳下の後輩・王に抜かれた。そのことを話すのに悔しそうではなかった。しょうがないよと、あきらめた口調で反発心などみじんも感じさせなかった。打撃成績に関しては、あきらめのつくほど数字の差は大きく、敗北感をおぼえるレベルにはなかったようだった。
 王貞治の人間性や真摯な態度に好感を持っていた。長嶋茂雄とは違うタイプだった。巨人を去った野球人というので、監督としてライバル心を持つ相手でもなかった。

むしろ、監督としてはオレのほうが上と、それは実績も証明していることで、この優越感が打撃成績の敗北感を凌駕していたと思う。それは、野球観の違いを聞いたとき、はっきり知らされた。

王監督は理想のオーダーを聞かれて言った。
「そりゃあ、全員ホームランバッターがいいよ。1番から9番まで」
 ホームランの魅力については、「一打で1点でしょ。効率いいよね。ホームラン打ってベース一周するでしょ。相手、だれも動けないんだよね。あれはいい気分だったね」と、素直に朗らかに言う。

この発言について、野村監督に質問した。王さんとは違いますか? 即座に答えが返ってきた。

「そうかな。オレやったらイチローがいいな。1番から9番まで」

ノーヒットで1点取るのが一番いい、というのが監督の考えだった。

先頭打者が四球で出塁する。盗塁してバントで三進。犠牲フライで1点取る。これはID野球でなく、頭の問題でもなく、「気持ち」の問題なのだという。
「そうやって1点取るとベンチが盛り上がる。出塁した選手、バントした選手、盗塁するのに相手バッテリーの癖を知って、サインを出したベースコーチ、犠牲フライ打った選手。ミーティングで直前のデータを取ってきたスコアラー。みんなが貢献するんやから、喜び分かち合って、チームに一体感が生まれる。勝とう、いう気になるやろ」

オーダーについて、野村監督は「4番が決まれば、あとは枝葉だ」と、極論したことがある。打線の軸になるのは強打者。ホームランバッターであればベストなのに違いない。しかし、野球で勝つためには、全員の力が必要。当たり前の話だが、野村監督はこれを徹底して、結果を出した。

通算打撃成績を抜かれても、監督としてはオレが上という自負が、王貞治との距離を保ったのではないかと思う

最期まで頭脳明晰「野村流ボヤキ」の健康効果を医師が解説

古田への“口撃”はともかく、プロ入り1年目の田中将大が打たれても負けないことを表現した「マー君、神の子、不思議な子」、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」など、それぞれのボヤキの局面をズバリと表現した名言が目立つ。前向きな内容が多く、上司に評価を下げられて「ふざけるな」とグチる不満とは違うだろう。

豊富な読書でプラスの刺激

 B4コピー用紙2センチにわたる厚みを持つ野村ノートに代表されるようにとにかく勉強熱心。実はキラリと光るボヤキは豊富な読書に裏打ちされている。生前、妻の沙知代さんに「言葉を知らないなら、本を読みなさい」と読書を勧められ、自著「言葉一つで、人は変わる」では読書の有益性に触れている。

「勉強というと、何かを強いるイメージがありますが、何でもいい。好きなことを学び続ける姿勢が大切なんです。野村さんは読書で得られた教養や知識をベースに、時には批判を込めてボヤく。新しい情報を仕入れることのプラスの刺激がたっぷりで、ストレスなどマイナス要素をうまく吐き出しているから、最期まで頭脳明晰だったのでしょう」(米山公啓氏)

含蓄あふれるボヤキは豊富な読書量に裏打ちされているのだ。

 ■ボヤキが脳を守る
楽天が初めてAクラス入りした2009年には、「ボヤキ」が新語流行語大賞のトップ10入り。その授賞式で「僕がボヤかなくなったらご臨終ですよ」とスピーチして笑いを誘ったものの、その翌年、解離性大動脈瘤を発症。ピンチを克服してさらに10年にわたって、ボヤき続けた。ボヤキは永遠。野村氏の生活ぶりには、元気な脳を守る秘訣も詰まっている。

 

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