【朝の楽しみ】

7月10日(土)

皆さんこんにちは

今日の記事

毎朝のニュースを心待ちにするのは何年振りかと思う。

イチローがデビューした2001年の春、MLB最多安打記録に迫った2004年の秋、ファンは「今朝、イチロー打った?」が合言葉になったものだ。

「今朝、大谷打った?」はそれ以来だ。

違うのは「イチロー打った?」が安打なのに対し、「大谷翔平打った?」はホームランということだ。

大谷翔平メジャー4年目の「意外な食生活」量産する本塁打と剛速球の源にある“おこだわり”

公開日: 更新日:
28号の2打席連続本塁打を放った大谷(C)共同通信社
28号の2打席連続本塁打を放った大谷(C)共同通信社

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「彼は違う次元に向かっているようだ。素晴らしかった」

こう言ったのはヤンキースのアーロン・ブーン監督。「彼」とは日本時間30日のヤンキース戦でリーグトップの27、28号の2打席連続本塁打を放った大谷翔平(26=エンゼルス)のことだ。

本拠地のヤンキースタジアムで連日の3発。自軍にメジャーを代表するスラッガーたちを従える敵将が衝撃を受け、舌を巻いた。

■コスタメサの焼き肉

打つだけでなく、マウンドに上がれば160キロ超の剛速球を投げる。ケタ違いのパワーの源は何か、特別なものでも食べているんじゃないか、気になるところだが、「食事は可能な限り球場のクラブハウスで済ませているし、時間がないときや遠征先では持参したタッパーに料理を詰めて持って帰ることが多い。エンゼルスタジアムから車で10分ほどの場所にある一軒家にひとり暮らし。管理栄養士にキャンプ中の90食分の食事を冷蔵庫や冷凍庫に作り置いてもらって、自炊の方法を習ったことはある。鍋でご飯を炊いたり、ハンバーグも作れるようになったといいますけど、手の込んだ料理をするわけじゃない。たまにアナハイムの隣町のコスタメサで焼き肉を食べる程度で、特別にパワーやスタミナがつきそうなものを口にしているという話は聞いたことがありません」とは現地特派員。

■欲は出てこない

かつて日刊ゲンダイのインタビューで食に関する質問をしたときもこんな答えが返ってきた。

「そんなにお酒を飲みたいとは思いません。(故郷の岩手に)帰ったときには一滴も飲んでいません。好きじゃない? ビールの1杯目くらいはおいしいと思いますけど。(体重を)増量しているときは、あまり飲まないようにしていますし、そこを崩してまで飲みたいとは思いません。(自分で考えていることを犠牲にしたり、ペースを乱したくないのかという質問に)乱されるのも嫌いですし、そこまでして好きなものを食べたいとも思いません。そういう感じで食事はしていませんので。そういう欲みたいなものも出てこないのかなと思う」

例えばイチローは現役時代、米国でも日本にいたときと同じような食事をとることにこだわった。毎朝、女房の作ったカレーを食べたし、ときには日本で行きつけだった店からわざわざ肉を取り寄せたほど。松井秀喜にしても食い物にはうるさかった。体のことを考えながら、好きな物を食べることは楽しみのひとつだった。

大谷はしかし、彼らのような食に対するこだわりはない。いや、あるのかもしれないが、あくまでもパワーをつけるためのものであって、どうしても何かを食べたいという欲自体、ないようなのだ。

体を鍛え、どういった食事を摂るのが良いか、知識を得ることに貧欲(C)ロイター/USA TODAY Sports 
体を鍛え、どういった食事を摂るのが良いか、知識を得ることに貧欲(C)ロイター/USA TODAY Sports 

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体をつくる手段

「その代わり、速い球を投げて、打球を飛ばすためには体のどの部分をどう鍛え、どういった食事を取るのがよいかという知識を得ることには貪欲です。食事に関しても管理栄養士を通じてかなり勉強している。つまり大谷にとっての食事は、投げて打ってバテにくい体をつくるための手段なのです。なのでクラブハウスでピックアップしているのも、そういった体をつくるうえで有効な食材なのでしょう」(前出の特派員)

「週刊新潮」(5月6、13日号)によれば、「大谷選手は昨オフ、自分に合っている食材、合っていない食材がわかる血液検査を受けた」という。「その結果、卵が合ってないことが判明し、毎朝自ら料理して食べていたオムレツをやめた」そうだ。

大谷はもともと、食が細い。中学時代は毎日牛乳を1リットル飲んだが、茶碗1杯の白飯を食べればそれで十分だった。岩手の花巻東高野球部には「食事トレーニング」があった。ノルマは1日どんぶり飯10杯。練習試合になると仕出し屋の弁当が出て、余ると投手が食べることになっていたが、食べ切れず、かといって捨てるわけにもいかず、寮の机の引き出しにしまい込んでカビだらけにしたこともあった。大谷にとって食事は、高校時代同様、トレーニングの一環なのかもしれない。

大谷が生み出す巨額の経済効果により、エンゼルスは60億円規模の収入を得ることになりそうだ。

前出の宮本氏は、大谷の活躍によって1試合につき、主催試合の観客動員が約3000人増えると想定。年間で約24.3万人の増加が見込まれ、これに観客のチケット代や球場での飲食代を加えると、約22.8億円の増収となるという(グッズ購入代は除く)。

■登板日は観客増

実際、大谷が登板した試合の観客動員はこの日は約2.8万人。6月18日は約3万人、同24日は平日のデーゲームにもかかわらず、2万人強を動員するなど、他の試合と比べて多くのファンが球場に足を運んでいる。今週6日は日本のゲーム会社が企画し、先着順で配布された“大谷枕”を求めるファンが球場入り口に長蛇の列をつくるなど、今季最多の約3.8万人が詰めかけた。

さらに、大谷グッズの売り上げ(約12億円)、NHKがMLBに支払う放映権料(30球団で分配された金額=約2.6億円)を合わせた金額が14.6億円となった。経済誌記者が言う。

「バックネット裏の『回転式広告』も大きな収入源。エンゼルスタジアムの回転広告料は半イニングで800万円程度といわれている。大谷の打席時に広告を出す場合、大谷は7日時点で年間658打席ペース。主催試合での打席を半分の329打席とすると、約26億円が広告収入となる。大谷の今季年俸は約3.3億円と格安ですから、エンゼルスは笑いが止まりません」

先着で配られた大谷の顔デザイン・ピロー(枕)をゲットして喜ぶファン(C)共同通信社
先着で配られた大谷の顔デザイン・ピロー(枕)をゲットして喜ぶファン(C)共同通信社

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株価が急上昇

 スポンサーも「大谷効果」の恩恵にあずかっている。大谷は現在、JAL、デサント、アシックスなど6社とスポンサー契約を結び、三菱UFJ銀行、東京西川のCMに出演している。各社は二刀流の活躍によって宣伝効果が増すだけでなく、複数の企業では株価が急上昇しているのだ。

中でも大谷へ用具、アパレル提供をしているアシックス、デサントの伸びが凄まじい。

アシックスは5月中旬以降、デサントは6月以降に株価が高騰。開幕直前の3月31日と7月7日15時現在とを比較すると、アシックスは1765円から約800円増の2555円。デサントも1882円から約1100円増の2972円。時価総額は500億円以上増えた。

前出の宮本氏が言う。

「大谷選手の活躍だけが株価を押し上げる要因にはならないが、開幕前と比べて株価が大きく上がっているのを考慮すると、少なからず『大谷効果』はあると言っていい。特にデサントは本塁打を量産し始めた6月に急上昇しているわけですから」

宮本氏は、大谷に対するスポンサー料を1社2億円と推計。

「今年、契約更新を迎える企業もあり、最低でも倍額となる1社4億円に跳ね上がるとみています」(宮本氏)

■自動車、IT、重工業

スポーツファンでビジネス評論家の菅野宏三氏も、「『大谷効果』は今後、ますます大きくなる」と、こう続ける。

「日本の国内企業が大谷選手のもとに殺到するでしょう。世界最高峰の舞台での活躍はインパクト抜群。ルックスはいいし、岩手県出身で素朴かつ粘り強い印象でファンの好感度も高い。IOCだけが潤う東京五輪のスポンサーよりも、よほど広告効果があると思います。大谷は車の免許を取ったそうだし、自動車メーカーは垂涎の的ではないか。米国企業からのオファーもあるでしょう。ニューヨークのヤンキースファンが『大谷、大谷』と騒ぎ始めるなど、全米で注目が高まってきた。韓国や台湾も大谷人気が上がっていますから、『国内+アジア市場』を見据えて、グーグル、アップルなどIT企業、バイデン政権のインフラ投資政策によって恩恵を受けるIBMやキャタピラーといったハイテク、重工業企業が触手を伸ばす可能性があります」

今オフ、日米企業による大谷争奪戦が激しくなりそうだ。